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ドラマー不足は本当? — パート別メンバー募集の実態と見つけ方

2026/03/03

「ドラムいないんだよねぇ…」——バンドマンなら一度は口にしたことがあるセリフ。でも本当にドラマーだけが足りないのか? 30年以上バンドを続けてきた筆者が、パート別のメンバー募集事情をリアルに解剖。ドラム・ベース・ボーカル・キーボード・ギター、それぞれの「見つけ方」も実体験ベースでお伝えします。

ドラムセットを演奏するドラマー
Photo by Josh Sorenson on Unsplash

「ドラムいないんだよねぇ…」問題

バンドをやっていると、このセリフを何十回も聞きます。自分でも何十回も言いました。

「メンバーほぼ揃ったんだけど、ドラムだけ見つからなくてさ」「いいドラマーいたら紹介して」「ドラムさえいれば、もうライブできるのに」——。

ドラマー不足。これは日本のバンドシーンで長年語られている問題です。でも、本当にドラマーだけが足りないのでしょうか? ベースは? ボーカルは? キーボードは?

僕は20代からバンドをやり続けて、吉祥寺の曼荼羅や福生のUZU、いろんな場所でいろんなメンバーと出会ってきました。50代になってからはメンバー募集サイトにも片っ端から応募して、たくさんの出会いと別れを経験しています。

この記事では、その経験をベースに、パート別のメンバー募集の実態と、見つからない時にどうすればいいかを正直に書きます。

パート別・メンバー募集の実態

まず、パートごとの「需給バランス」をリアルに見てみましょう。これは僕の体感と、主要メンバー募集サイトの投稿傾向を見た上での判断です。

パート 募集の多さ 応募の多さ 需給バランス
ドラム 非常に多い 少ない 圧倒的に不足
ベース 多い やや少ない 慢性的に不足
キーボード 多い 少ない 不足(特にロック系)
ボーカル 多い 多い 人数はいるが「合う人」が少ない
ギター 少なめ 非常に多い 余っている

ギタリストが余っているのは誰もが感じていることでしょう。募集サイトを見ると、ギター志望の応募は他パートの2〜3倍。一方、ドラムの募集に対する応募は、体感で5分の1くらいです。

でも注目してほしいのは、ベースとキーボードも実はかなり不足しているということ。ドラマー不足ばかりが話題になりますが、ベーシストの募集も相当な数があり、応募は少ない。キーボードに至っては「そもそも候補者がいない」という状態のバンドも珍しくありません。

なぜドラマーは少ないのか

バンドのリハーサル風景
Photo by Caught In Joy on Unsplash

ドラマー不足の原因は、実はシンプルです。ドラムを始めるハードルが、他の楽器より圧倒的に高い

1. 騒音問題

ギターはアンプに繋がなければアコースティックで練習できる。ベースはヘッドフォンアンプで深夜でも弾ける。ピアノは電子ピアノにすれば音量ゼロにできる。

ドラムは? 叩けば鳴る。それも、かなりの音量で。電子ドラムという選択肢はありますが、パッドを叩く振動は階下に伝わるし、キックペダルの振動は防音マットを敷いてもゼロにはならない。マンションやアパートでは、まともに練習できない楽器の筆頭です。

2. 費用と場所

ドラムセットを自宅に置ける環境がまずない。練習するには毎回スタジオを借りる必要がある。個人練習でも1時間500〜1,000円。週2回通えば月4,000〜8,000円。これがギターなら、自宅で毎日タダで弾けます。

楽器本体の費用はギターやベースと大差ないものの、「持ち運べない」「置く場所がない」という物理的な問題が大きい。

3. 始めるきっかけが少ない

中学・高校の軽音楽部で最初に手に取る楽器は何か。ギター、ベース、キーボード——ドラムは「残った人がやる」パターンが意外と多い。つまり、「ドラムが好きで始めた」人より「他に誰もいなかったから」という理由で始めた人の割合が高い。すると、バンド解散とともにドラムをやめる人も多くなります。

4. 掛け持ちしやすいパートとしにくいパート

実力のあるドラマーは引く手あまたです。1つのバンドでは満足せず、2つ3つ掛け持ちしていることも珍しくない。これ自体は自然なことですが、結果として「フリーのドラマー」がさらに減ります。逆にギタリストは供給過多なので、1バンド専任の人が多い。

ドラマーだけじゃない「足りないパート」のリアル

ドラマー不足の話はよく聞きますが、他のパートにも深刻な問題があります。

ベーシスト — 地味に、ずっと不足している

ベースは「目立たない楽器」というイメージがつきまとう。バンドの要であることは間違いないのに、「ベーシストになりたい!」と最初から志す人は少ない。ギタリストからの転向組や、「バンドでベースが足りないから」という理由で始める人が大半です。

でも一度ベースの魅力にハマった人は長く続ける傾向がある。問題は「最初の一歩」のハードルです。

キーボーディスト — 特にロック・ポップスバンドで深刻

ピアノ経験者は日本に大勢います。でも「バンドでキーボードを弾きたい」という人は驚くほど少ない。クラシック畑の人にとって、バンドのスタジオは未知の世界。「楽譜がない」「コードで弾く」「即興で合わせる」——これが怖くて足を踏み出せないのです。

ジャズやフュージョン系ではキーボーディストの層は比較的厚い。ロックやポップスのバンドでキーボードを探すのが一番苦労します。

ボーカル — 人数はいる。でも「合う」人がいない

ボーカル志望は募集サイトを見ても多い。問題は「合うかどうか」です。声質、音域、音楽の趣味、人間性——すべてが合うボーカルに出会うのは、ある意味ドラマーを見つけるより難しいかもしれません。

メンバーが見つからない人の共通点でも書きましたが、「理想が高すぎる」のはボーカル探しで一番陥りやすい罠です。

ギター — 余っている。でも「合うギタリスト」は別問題

ギタリストは確かに多い。でも「テクニックはあるけどバンドに合わない」「上手いけど協調性がない」「歪みギターしか弾けない」——。人数が多い分、ミスマッチも多い楽器です。

パート別・メンバーの見つけ方

ベースギターのクローズアップ
Photo by Dominik Scythe on Unsplash

ここからが本題です。パートごとに「どこで」「どうやって」探すのが効率的か、僕の経験から具体的にお伝えします。

ドラマーの見つけ方

セッションバーに通う。これが一番です。募集サイトで「ドラム募集」と出しても応募は来にくい。でもセッションバーには「バンドに入りたいけど自分からは探さない」タイプのドラマーが結構います。吉祥寺、下北沢、渋谷あたりのセッションバーに楽器を持って行って、一緒に演奏する。気が合えば「うちのバンドに来ない?」と声をかける。このルートが最も成功率が高いです。

音楽教室の発表会を狙う。ドラム教室の発表会やワークショップには、「習っているけどバンド未経験」の人が多い。バンドへの憧れはあるけど、きっかけがない。そこに「初心者OK、一緒にやりませんか?」と声をかけると、意外なほど前向きな反応が返ってきます。

DTMドラマーに声をかける。最近は、パソコンでドラムを打ち込んでいる「DTMドラマー」が増えています。リズム感覚は鍛えられているし、曲の構成も理解している。「生ドラムは叩けないけど」と謙遜しますが、電子ドラムを叩かせてみると意外と上手かったりする。門戸を広げてみてください。

ベーシストの見つけ方

ギタリストからの転向組を狙う。ギタリストが余っている現状は、逆にチャンスです。「ギターで応募したけどバンドに入れない」人に「ベースやってみない?」と提案する。ギターの基礎がある分、ベースへの転向は比較的スムーズ。実際、名ベーシストの中にはギター出身者が大勢います。

初心者歓迎で門戸を広げる。「ベース歴3年以上」「オリジナル曲ができる人」——こういう条件を付けると、候補者はさらに減ります。「初心者歓迎、一緒に成長しましょう」と書くだけで応募数は倍増します。ベースは3ヶ月真剣に練習すれば、バンドのリハには参加できるレベルになれます。

ボーカルの見つけ方

弾き語りアーティストに声をかける。路上やオープンマイクで弾き語りをしている人は、「バンドでやりたい」と密かに思っていることが多い。一人で活動している分、バンドへの憧れは強い。ライブバーのオープンマイクに行って、気になるシンガーに「バンドやりませんか?」と声をかけてみてください。

カラオケ好きの友人に声をかける。笑い話みたいですが、本気です。カラオケで上手い人は、ステージに立つ経験がないだけで、ポテンシャルがある人が大勢います。「バンドのボーカル、やってみない?」——この一言で人生が変わる人は実際にいます。

キーボーディストの見つけ方

クラシック出身者にバンドの楽しさを伝える。ピアノを10年以上やっている人は日本に大勢います。彼らに「バンドって、こんなに楽しいんだよ」と伝えることが大事。スタジオに一度連れて行って、簡単なブルース進行で一緒に音を出す。あの「初めてバンドで音を合わせた時の感動」は、クラシック出身者にこそ強烈に響きます。

シンセやDTMをやっている人にも声をかける。自宅でシンセサイザーやDTMをいじっている人は、バンドでの演奏経験がなくても、音楽的な土台はしっかりしています。「打ち込みじゃなくて、生バンドでやってみない?」という誘い方が効きます。

ギタリストの見つけ方

正直、ギタリストを探すのは一番楽です。募集を出せば応募は来ます。問題は「合うギタリスト」を選ぶこと。テクニックだけで選ぶと失敗します。「この人と一緒にスタジオで3時間過ごせるか?」——そのフィーリングの方が大事です。

春からバンドを始めようの記事でも書きましたが、新生活の時期はメンバー探しの絶好のタイミング。ギタリストに限らず、「新しいことを始めたい」という気持ちの人が多い季節を狙うのも一つの手です。

体験談: ドラマーを3ヶ月探して、セッションバーで出会った話

マイクのクローズアップ
Photo by Claus Grunstaudl on Unsplash

何年か前の話です。オリジナル曲も10曲くらいできて、メンバーも揃った。あとはドラムだけ。メンバー募集サイトに投稿して、SNSでも呼びかけた。応募は3ヶ月でたった2件。1人は音楽の方向性が全然合わなかった。もう1人は最初のスタジオに来なかった。

「もうドラムマシンでライブやるか…」と半ば諦めかけていた時、たまたま吉祥寺のセッションバーに行きました。カウンターで飲みながらセッションを聴いていたら、知らないドラマーが叩いていた。上手いとかそういう次元じゃなくて、リズムの「気持ちよさ」が段違いだった。

セットの合間に声をかけました。「今のドラム、最高でした。実はバンドでドラム探してるんですけど、興味ありませんか?」

彼は少し考えて、「音源聴かせてくれたら考える」と言った。翌日、デモ音源を送った。3日後に返事が来た。「面白そうだね。一回スタジオ入ろう」。

そのスタジオでの合わせが、もう最高だった。3ヶ月間、募集サイトで見つからなかったドラマーが、セッションバーの1夜で見つかった。

教訓は2つ。募集サイトだけに頼るな。そしていい音を出している人に、直接声をかけろ。シンプルだけど、これが一番確実です。

募集文の書き方 — パートごとに響くポイントは違う

メンバー募集のメッセージは、パートによって「刺さるポイント」が違います。僕がこれまで試してきて、反応が良かった書き方をまとめます。

ドラマー向け募集文のコツ

  • 「スタジオ代は全員で折半」と明記する。ドラマーは個人練習でもスタジオ代がかかる。バンドの練習でさらに出費が増えるのは痛い。費用面の安心感を与えること
  • 「曲はシンプル」「手数は求めない」と書く。「超絶テクニック求む」と書いた瞬間、9割のドラマーは離れる。8ビートが気持ちよく叩ければ十分、というスタンスの方が応募は来る
  • 練習頻度を明示する。「月2回、土曜午後」のように具体的に。掛け持ちドラマーにとって、スケジュールの見通しが立つことは最重要事項

ベーシスト向け募集文のコツ

  • 「初心者歓迎」は魔法の言葉。ベース人口が少ないなら、間口を広げるしかない。経験よりも「一緒にやりたい気持ち」を重視する姿勢を見せる
  • バンドの音源やデモを添付する。ベーシストは「自分がどういうラインを弾けるか」をイメージしたい。音源があると応募のハードルが下がる

ボーカル向け募集文のコツ

  • ジャンルと影響を受けたアーティストを具体的に書く。ボーカルは「自分の声に合うバンドか」を一番気にする。「ロック系」だけじゃなく「ミスチル〜バンプ系の日本語ロック」くらい具体的に
  • ステージ経験不問と明記する。「カラオケしか経験ないけど…」という人の背中を押す一言になる

キーボーディスト向け募集文のコツ

  • 「コード弾きでOK」と書く。クラシック出身者が一番怖がるのは「即興」「アドリブ」。最初はコードを弾くだけで十分だと伝える
  • キーボードの持ち込み不要と書く。スタジオのキーボードを使えるなら、その旨を明記。重いキーボードの運搬はハードルが高い

募集文はMemboで出せば8言語に翻訳されます。日本語で書くだけで、日本在住の外国人ミュージシャンにもリーチできる。ドラマーが不足しているなら、探す範囲を広げるのは理にかなっています。

まとめ: 見つけ方を変えれば、出会いは必ずある

ギターを弾くミュージシャン
Photo by Jefferson Santos on Unsplash

ドラマー不足は事実です。ベーシスト不足もキーボーディスト不足も事実。でも「いないから無理」じゃない。

見つけ方を変えれば、出会いは必ずあります。

募集サイトに投稿して待つだけじゃなく、セッションバーに行く。音楽教室の発表会を覗いてみる。DTMをやっている友人に声をかけてみる。ギタリストに「ベースどう?」と提案してみる。外国人ミュージシャンにも門戸を広げてみる

探す場所と方法を変えるだけで、世界が変わります。

僕は60代になった今でもメンバーを探し続けています。国籍も性別も年代も関係なく、音一つで通じるセッションやバンドをずーっとやって、一生を終えたい。そのためには、「足りないパート」を嘆くんじゃなくて、自分から動くしかない。

この記事が、あなたのメンバー探しの何かのヒントになれば嬉しいです。

いいメンバーとの出会いは、いつも予想しないところからやってくる。——次のスタジオで、あなたの隣にいるかもしれません。

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