目次
1. 「ベーシストになりたい」と検索して気づくこと
「ベーシストになるには」と検索してみると、少し不思議なことに気づきます。バンドが「ベーシストを探す方法」を解説した記事は数多く見つかるのに、「自分自身がベーシストになりたい」という側の視点で書かれた記事は驚くほど少ないのです。私たちのブログでもこれまでベーシスト募集しても見つからない理由と解決策やベーシスト・ドラマーが見つからない時の探し方完全ガイドを公開してきましたが、これらはいずれも「バンド側がベーシストをどう探すか」という視点の記事です。今回のこの記事は、その裏側――「これからベースを始めてバンドで弾けるようになりたい」というあなた自身の視点に立って書いています。
この視点転換のパターンは、以前公開したキーボード奏者になるにはという記事やドラマーになるにはという記事でも扱ってきました。募集する側の記事と、なりたい側の記事。この二つが揃って初めて、楽器とバンドをめぐる情報は一周すると私は考えています。ベースはその中でも特に「弾いていることに気づかれにくい」という独特の立ち位置を持つパートです。目立たないからこそ軽視されがちですが、実際にはバンドのリズムと和音進行をひとりで同時に支える、非常に重要な役割を担っています。この記事では、まったくの初心者がベースを独学で始めるためのロードマップと、「どのレベルに達したらバンドで通用するのか」という見極め方を、できるだけ具体的に解説していきます。
私たちが運営するMemboは、複数の日本語バンドメンバー募集サイトの情報を横断的に検索できるサービスですが、そこに集まる募集条件を見ていると「ベース経験者歓迎」「初心者可、基礎から一緒に育てたい」という表記が思いのほか多いことに気づきます。つまり、この記事のロードマップを一通り歩み終えたあなたには、想像以上にたくさんの入り口が用意されているということです。
2. ベースを始める前に知っておきたい役割と機材の全体像
独学を始める前に、まず押さえておきたいのがベースという楽器の役割そのものです。エレクトリックベースは、低音部を担う撥弦楽器で、1951年にフェンダー社が発売した最初の量産フレット付きモデル以降、現代のバンドサウンドに欠かせない存在になりました。ギターがコードやメロディで曲を彩る楽器だとすれば、ベースはドラムのキックやスネアと呼吸を合わせながら、曲の和音進行を一音ずつ支える楽器です。派手さでは目立ちませんが、ベースが抜けた瞬間にバンド全体の重心が消えてしまうことに気づくはずです。この「支える」役割の感覚を早い段階でつかんでおくと、独学の練習にも迷いがなくなります。
機材の面でも、ベースには複数の選択肢があります。
| 楽器 | 特徴 | バンドでの主な役割 |
|---|---|---|
| プレシジョンベース | 1951年発売、単一のスプリットコイルピックアップを搭載。太く重心の低いサウンド | ロック・パンク・ポップスなど幅広いジャンルの土台 |
| ジャズベース | 1960年発売、前後2つのピックアップでトーンの幅が広い | ファンク・フュージョン・繊細なアンサンブル |
| アクティブベース | プリアンプを内蔵し、音量・音質の調整幅が広い | スラップ奏法や現代的なバンドサウンド |
最初の一本として特に迷いやすいのが、プレシジョンベースとジャズベースのどちらを選ぶかという点です。両者の違いを価格帯・音の傾向・向いているジャンルで整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | プレシジョンベース | ジャズベース |
|---|---|---|
| 価格帯の目安(初心者向け新品) | 2万円台〜5万円台(フェンダーの普及ブランドSquierシリーズなど定番の入門機種が多い) | 2万円台〜5万円台(同じくSquierシリーズなどが定番) |
| 音の傾向 | 太くパワフルで、輪郭がはっきりした低音 | 中高域がよく出て、音の粒が多彩でニュアンスを付けやすい |
| 向いているジャンルの目安 | ロック・パンクなどアタック感を前面に出したいジャンル | ジャズ・フュージョンなど繊細な音作りが求められるジャンル |
最初の一本を選ぶ際、多くの初心者はプレシジョンベースかジャズベースのどちらかから入ります。どちらも70年以上にわたって定番として選ばれ続けているモデルなので、上の比較表を目安にしつつ、迷ったら実際に楽器店で構えてみて、ネックの太さや重さの感覚で選んで問題ありません。アンプは自宅練習用の小型モデルで十分ですし、深夜に練習したい場合はヘッドホン端子付きのモデルやヘッドホンアンプを使えば、音量を気にせず基礎練習を積むことができます。エフェクターは独学の初期段階では必須ではなく、コンプレッサーやオーバードライブなどは「弾けるようになってから」揃えても遅くありません。
3. 独学ロードマップStep1|ルート音を追いテンポを刻む
独学でベースを始める際、最初の関門になるのが「ルート音を追いかけながら、一定のテンポを崩さずに弾き続けること」です。ベースはメロディ楽器のように主役を張る場面は少ない代わりに、曲のコード進行のルート音(一番低い基本の音)を正確に鳴らし続けることが最優先の技術になります。まず取り組みたいのがメトロノームを使った基礎練習です。メトロノームはオランダの発明家ディートリッヒ・ニコラウス・ヴィンケルが原型を考案し、1816年にドイツのヨハン・ネポムク・メルツェルが特許を取得して普及させた道具で、以来200年以上にわたって音楽家のテンポキープを支えてきました。
具体的な進め方としては、次の順序がおすすめです。
- コードのルート音(1度の音)だけを追いかける:C→Am→F→Gのようなコード進行を渡されたら、まずはそれぞれの一番低い音だけを、拍の頭に合わせて弾く練習から始める
- メトロノームを60〜80BPM程度の遅いテンポに設定し、ズレなく刻み続ける:速さよりも「一定であること」を最優先にする
- 徐々にテンポを上げていく:10BPMずつ上げながら、崩れたら一つ前のテンポに戻るという地道な繰り返しを行う
- 左手の運指を安定させる:人差し指・中指・薬指・小指を1フレットずつ担当させる「1フィンガー1フレット」の基本フォームを体に染み込ませる
- 簡単な曲のベースラインをコピーしてみる:初めてのバンド練習で弾きやすい曲の選び方で紹介されているような、ルート音中心のシンプルな曲を選んで練習に取り入れる
目安の練習期間は、1日20〜30分程度をコンスタントに続けた場合でおよそ1〜2ヶ月です。もちろん個人差はありますが、「ルート音を崩れずに刻み続けられる」感覚が指に馴染んできたら、Step1は次の段階に進んでよい合図と考えて構いません。焦って難しいフレーズに手を出す必要はまったくありません。地味に見えるこの反復こそが、後々のロードマップすべての土台になります。
4. 独学ロードマップStep2|指弾き・ピック弾きを使い分ける
ルート音を安定して弾けるようになったら、次の壁は「指弾きとピック弾きの使い分け」と「リズムキープの精度」です。ベースの右手(弾く側の手)には大きく分けて指弾き(フィンガーピッキング)とピック弾きの2つのスタイルがあり、それぞれ音の輪郭や表現の幅が異なります。指弾きは音の粒立ちが柔らかく、ファンクやフュージョン系のグルーヴに向いています。一方ピック弾きは音の輪郭がはっきりして、ロックやパンクのようにアタック感が求められるジャンルで威力を発揮します。
どちらから先に始めるべきか迷う場合は、まず指弾きから始めることをおすすめします。理由は大きく2つあります。ひとつは、指の力加減だけで音量や音の柔らかさを調整できるため、右手のニュアンスコントロールを早い段階で身体で覚えやすいこと。もうひとつは、指弾きで右手の基礎ができていれば、ピック弾きは道具を持ち替えるだけなので、後からでも比較的短期間で習得しやすいことです。逆にピック弾きから入ってしまうと、指弾き特有の力加減の感覚を後から掴み直すのに時間がかかる人が多く見られます。
練習方法としては、まず指弾きなら人差し指と中指を交互に使うオルタネイトピッキングの基本フォームを固め、ピック弾きならダウンストロークだけの単純なリズムから始めるのが現実的です。同時に意識したいのが、ドラムのハイハットやスネアのタイミングにベースの粒を合わせる感覚です。初めてのバンド練習ロードマップで紹介されているように、バンド全体の練習スケジュールに合わせて少しずつ完成度を上げていけば十分です。目安としては、Step1を終えた状態からさらに1〜2ヶ月ほど、指弾きとピック弾きのどちらか一方を安定して使えるようになるまで練習を重ねるイメージです。両方を同時に極めようとせず、まずは片方に絞って基礎を固めることをおすすめします。
5. 独学ロードマップStep3|スケールとスラップ奏法への発展
ルート音とリズムキープが安定し、指弾きかピック弾きのどちらかが使えるようになったら、いよいよ「バンドで通用するレベル」に近づくための最後の大きなステップ――スケールを使ったフレーズ作りと、必要であればスラップ奏法への発展です。ルート音だけでなく、コードの3度や5度の音、経過音を交えたベースラインが弾けるようになると、曲に表情が生まれます。メジャースケール・マイナースケール・ペンタトニックスケールといった基本的なスケールを、コード進行に合わせて指板上でなぞる練習を重ねることで、単調なルート弾きから一歩進んだフレーズが作れるようになります。
スラップ奏法は、親指で弦を叩く「サムピング」と、弦を引っ張ってネックに打ちつける「プリング(プッキング)」を組み合わせた奏法で、Sly & The Family Stoneのラリー・グラハムが確立したとされています。低音弦をバスドラムのように、高音弦をスネアのように扱うことで、パーカッシブなグルーヴを生み出せるのが特徴です。習得の順序としては、2つの動作をいきなり同時に練習しようとせず、分けて取り組むのが現実的です。まずは親指の側面で弦を叩く「サムピング」だけを取り出し、数週間〜1、2ヶ月ほどかけて、一定のリズムで安定して音を出せるようにします。サムピングだけである程度崩れずに弾けるようになってから、人差し指か中指で弦を引っ張る「プリング」を組み合わせる練習に進みます。サムピングとプリングを交互に組み合わせて滑らかなグルーヴにできるようになるまでは、さらに1〜2ヶ月ほどを見込んでおくとよいでしょう。すべてのベーシストがスラップを習得する必要はありませんが、ファンクやスラップが映えるジャンルに挑戦したい場合は、Step3の延長として取り組む価値があります。目安としては、Step2を終えた段階からさらに2〜4ヶ月ほど続けると、初めてのバンド練習でも大きく崩れずについていける手応えが出てくることが多いです。バンド練習を効率化するコツも参考にしながら、この段階を焦らず進めてください。
6. 練習環境の確保|自宅練習の音量問題とスタジオ練習の使い方
ベースを独学で続けるうえで、キーボードやギターと同様に向き合うことになるのが「音量」の問題です。生のベースアンプを自宅でそのままフルボリュームで鳴らせば、集合住宅は言うまでもなく、一戸建てでも近隣トラブルに発展しかねません。多くの独学者は、自宅ではヘッドホン端子付きの小型アンプやヘッドホンアンプを使って基礎練習を積み、実際の音量・音圧で弾く経験は練習スタジオを借りることで補うというスタイルを取っています。
自宅練習用の機材は、数千円台で買えるミニヘッドホンアンプ(ベース本体にケーブルで繋ぎ、ヘッドホンで音を確認しながら弾ける小型タイプ)から、1万円前後のマルチエフェクター内蔵タイプ(アンプシミュレーターやチューナー、リズムマシンまで一台にまとまったモデル)まで幅広く選べます。予算に余裕があれば後者を選んでおくと、音作りの練習も同時にできて一石二鳥です。機材以外の防音対策としては、床にベース用の防音マットや厚手のラグを敷いて振動を伝わりにくくする、練習する時間帯を朝早くや深夜は避けて近隣に配慮する、生音を出さずに済むエレクトリック楽器としての特性を活かしてヘッドホン練習の比率を上げる、といった工夫が現実的です。
練習スタジオの借り方ガイドでは、初めてスタジオを利用する際の予約方法や機材の使い方について詳しく解説していますが、要点だけここでも触れておきます。個人練習用の小部屋は、都市部・地方を問わずおおむね1時間500〜1,500円程度が相場で、学生証を提示すると割引が使える店舗も少なくありません。予約の流れも難しくなく、多くのスタジオはWebの予約フォームから空き時間を確認して数分で予約が完了し、空きがあれば当日ふらっと立ち寄って時間貸しで利用することも可能です。ベースアンプは備え付けの場合がほとんどなので、ベース本体とシールドさえ持参すれば手ぶらで練習できるのもスタジオ利用の利点です。個人練習でスタジオを使う場合は、平日の日中など比較的安い時間帯を狙うことで、費用を抑えながら定期的に生の音量感覚に触れる習慣を作ることができます。バンドが決まっている場合は、バンド練習を効率化するコツも参考にしながら、個人練習とバンド練習をバランスよく組み合わせていくとよいでしょう。まだバンドが決まっていない段階でも、Memboでベース経験者歓迎のバンドを眺めておくと、自分がどのくらいのレベルを目指せばよいのか具体的なイメージがつかみやすくなります。
7. 独学に使える練習アプリ・教材の選び方
近年は、スマートフォンやタブレット向けの練習アプリ、YouTubeの演奏解説チャンネル、書店に並ぶ教則本など、独学を補助してくれる教材が数多く存在します。ベースの練習アプリの多くは、コード進行に合わせたルート音の可視化機能や、耳コピをサポートするスロー再生機能を搭載しており、こうした機能を積極的に活用することで、「なんとなく弾けている気がする」という曖昧な感覚から抜け出し、客観的な指標をもとに練習を進めることができます。具体的には、ゲーム感覚でレッスンが進む「Yousician」のようなアプリでベースのコースに沿って基礎練習を積んだり、「Ultimate Guitar」のようなタブ譜アプリでコピーしたい曲のベースラインを確認しながら練習したり、スマホ内蔵のメトロノームアプリでテンポキープの練習を録音・確認したりと、組み合わせ方は自由です。
| 教材の種類 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| ベースライン可視化アプリ(例:Yousician) | 曲を読み込むとコード進行とルート音を表示、スロー再生にも対応 | 耳コピの練習を効率化したい人 |
| タブ譜アプリ(例:Ultimate Guitar) | 市販曲のベースラインをタブ譜で確認しながら練習できる | 好きな曲をコピーして練習したい人 |
| 動画解説チャンネル | 基礎フォームからスラップ奏法の組み立て方まで、無料で見られる解説動画が豊富 | 費用を抑えたい人、visualで学びたい人 |
| 教則本・スコア | 基本パターンやジャンル別のベースラインが体系的にまとまっている | じっくり腰を据えて基礎から積み上げたい人 |
これらの教材はいずれも「基礎フォームとリズム感を身につける」という点では優秀ですが、バンドの中で他パートの音を聴きながらテンポを合わせる感覚までは教えてくれません。教材はあくまで基礎練習の効率を上げる手段と割り切り、ある程度の手応えが出てきたら、早めにジャムセッションや実際のバンド練習に持ち込んでみることをおすすめします。最終的にバンドで通用する力は、生身の人間と音を合わせる経験の中でしか磨かれません。
8. 独学の限界とスクール・レッスンを検討すべきタイミング
独学には限界もあります。特にベースの場合、フォームの癖は自分では気づきにくく、間違った弾き方を続けると手首や指を痛める原因にもなります。次のようなサインが出てきたら、単発のレッスンやスクールへの通学を検討するタイミングと言えるでしょう。
- 特定のフレーズだけ、いくら練習しても左手と右手のタイミングが合わない
- 弦を押さえる手や、ピッキングする手首に痛みや違和感を感じるようになった
- 動画教材だけでは、自分の演奏の何が間違っているのか判断できなくなった
- 次に何を練習すればいいのか、目標を見失ってしまった
音楽教室や個人レッスンは、フォームを客観的にチェックしてもらえる点が独学にはない大きな価値です。レッスンの選び方としては、大きくオンラインレッスンと対面レッスンの2つがあります。オンラインレッスンは月数千円〜1万円程度から始められるものが多く、自宅から気軽に受けられるうえ、地方在住でも都市部の講師のレッスンを受けられるのが利点ですが、画面越しではフォームの細部までは伝わりにくいという弱点もあります。対面レッスンは月謝1万円台〜が目安になることが多く、費用はオンラインより高くなりがちですが、姿勢や指の角度、力の入れ方といった細かいフォームをその場で直接見てもらい、その場で修正できる点が大きな強みです。すべてをスクールに頼る必要はなく、「基礎は独学、フォームチェックだけレッスンで」という組み合わせ方でも十分に効果があります。無理に一つの方法にこだわらず、自分の伸び悩みに合わせて手段を選んでいくことが、遠回りのようで実は一番の近道です。レッスンを続けながら、並行してMemboでセッション仲間やバンドを探しておくのも、モチベーションを保つひとつの方法です。
9. 世界と日本の著名ベーシストに学ぶ
独学を続ける中で道に迷ったときは、実際にバンドで活躍してきたベーシストたちの歩みが参考になります。ここでは、経歴が確認できる実在の演奏者を何人か紹介します。
日本では、音楽プロデューサーとしても知られる亀田誠治が代表例のひとつです。中学2年生でベースを手にし、1989年に編曲家として音楽業界に入った後、スタジオミュージシャンとして数多くのレコーディングに参加、2004年には東京事変のベーシストとしてバンドデビューを果たしました。編曲家・プロデューサーとしての視点とベーシストとしての演奏感覚の両方を持つ、稀有な存在です。もうひとりの例が、フュージョンバンドCASIOPEAの創設メンバーとして知られる櫻井哲夫です。高校時代に作曲家の野呂一生と出会ったことがカシオペア結成のきっかけとなり、1979年のデビュー以降、派手さと安定感を両立させたスラップ奏法で多くのアマチュアベーシストの憧れとなりました。
海外に目を向けると、The Whoのジョン・エントウィッスルは、バンド唯一の音楽理論教育を受けたメンバーとして知られ、力強く独創的な奏法から「サンダーフィンガーズ」の異名を取りました。2011年にはローリング・ストーン誌の読者投票で「史上最高のロックベーシスト」に選出されています。フュージョンの世界では、ジャコ・パストリアスが、フレットレスベースと和音奏法、ハーモニクスを駆使した革新的な演奏スタイルでベースの役割そのものを塗り替えました。1976年に加入したウェザー・リポートでの活動を経て、ベースを単なる伴奏楽器からリード楽器へと押し上げた功績は、ジャンルを超えて多くのミュージシャンに影響を与え続けています。彼らに共通するのは、既存の「支え役」という枠に留まらず、バンドという編成の中で自分の楽器の役割を独自に開拓していった姿勢です。
10. 「バンドで通用するレベル」を見極める7つのチェックリスト
独学を続けていると、「自分はもうバンドに参加できるレベルなのか」という不安を抱く人が少なくありません。完璧を目指す必要はまったくありませんが、ひとつの目安として、以下の7項目をチェックリストとして活用してみてください。
- メトロノームを消した状態でも、1曲を通してルート音のリズムが大きく走ったり遅れたりしないか
- コード進行を渡されたら、ルート音だけでも崩れずに弾き続けられるか
- ドラムのキックのタイミングに、自分の音を合わせにいく意識があるか
- 1曲を最初から最後まで、止まらずに弾き切れるか
- ボーカルやギターが多少崩れても、慌てずにリズムと和音を支え続けられるか
- 音量バランスやPAへの要望を、簡潔な言葉で伝えられるか
- 初対面のメンバーとでも、数回の合わせで曲の形にできるか
すべての項目を満たしている必要はありません。むしろ、これらは「バンドに入ってから伸ばしていく力」でもあります。練習スタジオの借り方ガイドを参考にしながら実際にスタジオでバンドと合わせる経験を重ねれば、多くの項目は自然に身についていきます。大切なのは、「完璧に弾けるようになってから」ではなく、「7項目のうち半分くらいできるようになったら」思い切って一歩を踏み出す勇気です。
私はこれまで多くのバンドマンから話を聞いてきましたが、ベース担当を待つバンドの多くは、最初から超絶技巧を求めているわけではありません。「ルート音だけでもいいから、リズムを支えてくれる人がほしい」「一緒に音を育てていける人がほしい」という声のほうがずっと多いのが実感です。7項目のチェックリストは、完璧さを測るためのものではなく、あなたが今どのあたりにいるかを知るための地図として使ってください。
11. 挫折しやすいポイントと乗り越え方
ベースの独学には、いくつか典型的な挫折ポイントがあります。ここでは代表的な3つと、その乗り越え方を紹介します。
①目立たないパートであることへのモチベーション低下
ベースはギターやボーカルのように目立つパートではないため、練習していても「これで合っているのか」という手応えを感じにくい時期があります。これは特別なことではなく、多くのベーシストが通る過程です。バンドサウンド全体を聴いたときに、自分のベースラインが消えると全体がどれだけ変わるかを意識して聴き比べてみると、自分の役割の大きさを実感しやすくなります。
②指の皮が痛む、フォームが安定しない壁
弦の太いベースは、始めたばかりの頃は指先が痛みやすく、フォームも安定しません。焦らず、短い時間でも毎日続けることを優先し、痛みが強い場合は無理をせず休むことも大切です。初心者向けのバンド参加ガイドを参考に、早い段階で実際の練習の場に混ざってみることも、フォームを客観的に見直すきっかけになります。
③伸び悩みを感じる停滞期
どんな独学者にも、練習しても上達を感じられない停滞期が訪れます。こうしたときは、練習メニューを変えてみる、自分の演奏を録音して客観視する、思い切って一度レッスンを受けてみるなど、視点を変えることが突破口になります。停滞期は成長が止まっているのではなく、次の伸びのための準備期間であることも多いものです。
12. 独学から一歩進む|スタジオ・セッション・バンドへの合流
ある程度のロードマップを歩み終えたら、次はいよいよ実際の現場に飛び込む段階です。初めてバンドに参加する際の不安や進め方については、初心者がバンドに参加するためのガイドで詳しく解説しています。既存のバンドに途中から加わる場合は、自己PR文の書き方ガイドを参考に、自分がどんな練習をしてきたか、どんな曲が弾けるかを具体的に伝えると、バンド側にも安心感を与えられます。ゼロからバンドを組みたい場合はコピーバンドの始め方ガイドから入り、少しずつオリジナル曲作りに挑戦していくという段階的なステップもおすすめです。
ベーシストとしての自己PR文に迷ったら、次のような書き方が参考になります。
- 独学中の初心者の場合:「ベース歴〇ヶ月、独学でルート音とメトロノーム練習を続けています。指弾きで簡単な曲のベースラインを弾けるようになってきました。まだ経験は浅いですが、練習を重ねて対応力を広げていきたいです。」
- ある程度独学が進んでいる場合:「独学でベースを〇年ほど続けており、指弾き・ピック弾きの両方でコード進行に沿ったベースラインを組み立てられます。スタジオでの音量感覚にも慣れており、初見のコピー曲にもある程度対応できます。月1〜2回の練習からでもぜひ参加させてください。」
完璧な演奏スキルを並べ立てるより、「今どのレベルにいて、どのくらいのペースで練習できるか」を正直に伝えるほうが、バンド側にとっては安心材料になります。バンドが軌道に乗ってきたら、SNSでの活動発信やライブ告知の方法にも目を向けてみるとよいでしょう。
ベースは、ドラム・キーボード・ボーカルと並んでバンドに不足しがちなパートのひとつです。ドラマーの探し方やボーカリストの探し方、キーボーディストの探し方を読むと、他パートでも同じように「探す側」の悩みが存在していることがわかります。つまりベースを弾けるあなたは、多くのバンドから求められる希少な存在だということです。Memboのようなメンバー募集サービスを使えば、自分のレベルや希望の音楽性に合ったバンドを、全国規模で探すことができます。
13. 外国人ベーシストが日本のバンドシーンに入っていくために
ベースを弾ける外国人ミュージシャンが日本のバンドに参加するケースも、決して珍しくありません。とはいえ、日本語でのやり取りやスタジオ予約の仕組みに戸惑うことも多いはずです。外国人と日本人がバンドを組むということでは、言葉の壁を越えてメンバーを見つけるための実践的な工夫を紹介しています。日本で暮らしながらバンド活動を始めたい外国人ミュージシャン向けには、日本でバンドを組む完全ガイド(外国人ミュージシャン向け実践編)もあわせて参考にしてみてください。
Memboが8言語対応にこだわっているのも、こうした言語の壁を少しでも下げたいという思いからです。日本語のスタジオ予約やバンド用語に慣れていなくても、母語で募集情報を確認し、翻訳された文章でやり取りを始められれば、日本のバンドシーンに参加するハードルは大きく下がります。全国どこに住んでいても、全47都道府県対応のMemboを使えば、ベーシストを探しているバンドと出会える可能性が広がります。日本の音楽シーンそのものについてもっと知りたい場合は、音楽シーンとは?日本のバンドシーン地図と入り方完全ガイドも参考になります。楽器選びそのものに迷っている段階の人は、性格・ライフスタイル別の楽器の選び方ガイドから読み始めるのもおすすめです。バイオリンやチェロといった別の楽器から「バンドに参加する」という道を模索している人には、バイオリン・ストリングス奏者向けのガイドも、考え方の面で参考になるはずです。
14. まとめ|「弾ける」から「支えられる」へ
この記事では、「ベーシストになるには」という検索意図に正面から向き合い、独学のロードマップ――ルート音を追いテンポを刻む、指弾き・ピック弾きを使い分ける、スケールとスラップ奏法へ発展させる――という3つのステップと、「バンドで通用するレベル」を見極めるための7項目のチェックリストを紹介してきました。あわせて、亀田誠治・櫻井哲夫・ジョン・エントウィッスル・ジャコ・パストリアスといった、実在するベーシストたちの歩みも見てきました。彼らもまた、最初は「弾ける」というだけの段階から出発し、バンドという場の中で自分の音を磨いていったのです。
「弾いていることに気づかれにくい」という目立たなさと、「バンドで通用するリズムと和音の支え方」を身につける距離感――この記事の冒頭で触れたギャップは、裏を返せば大きなチャンスでもあります。ルート音を崩れずに刻めるようになり、指弾きかピック弾きのどちらかを安定して使えるようになり、スケールを使ったフレーズで曲に表情をつけられるようになれば、あなたは多くのバンドから必要とされる存在になれます。「弾ける」というゴールから、「支えられる」というゴールへ。その一歩を踏み出す準備ができたら、Memboでベーシストを探しているバンドを探してみてください。困ったときはMemboのヘルプページやMemboの使い方ガイド、アプリの使い方ページ、Memboのお知らせページ、執筆者についてのページもぜひチェックしてみてください。
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