コピーバンドで腕を磨いたら、次はオリジナル曲に挑戦したくなる。
好きなバンドの曲を再現する楽しさは格別だが、「自分たちだけの音」を鳴らしたいという欲求は、バンドを続けていれば自然に芽生える。実際、コピーバンドの始め方を経て腕が上がったメンバーが次に目指すのは、オリジナル曲でのライブだ。
しかし「作曲なんてやったことがない」「音楽理論がわからない」という不安で、最初の一歩を踏み出せない人は多い。この記事では、作曲経験ゼロのバンドでも実践できるオリジナル曲の作り方を、アプローチの選び方からバンドアレンジ、デモ音源の共有方法まで具体的に解説する。
バンドの作曲とは — ソロ作曲との3つの違い
まず定義を整理しておく。作曲とは、メロディ・コード・リズム(この3要素)を組み合わせて新しい楽曲を生み出す行為だ。ピアノやギターで鼻歌に伴奏を付けるのも作曲、DAWでループを組み合わせるのも作曲。道具や手順は違っても、やっていることの核は同じだ。
では、バンドでのオリジナル曲作成は、一人でやるソロ作曲と何が違うのか。大きく3つある。
| 観点 | ソロ作曲 | バンド作曲 |
|---|---|---|
| 完成までのプロセス | 1人の脳内で完結。ひらめき重視 | 骨組みを作ってメンバーと肉付けする共同作業 |
| アレンジの自由度 | DAWで全パート打ち込めば何でも可能 | 各メンバーの演奏力・好みに合わせて調整が必要 |
| 完成後の強み | 録音すれば完成 | ライブで化ける・メンバーのアイデアで深化する |
バンド作曲の醍醐味は、「自分が作った骨組みが、メンバーの手で予想を超えた形に仕上がる」ところにある。最初のデモと完成形が全く違うものになることも珍しくない。これはソロでは味わえない。
逆に言えば、バンドで作る以上、最初から完璧な完成形を目指す必要はない。骨組み(メロディとコード進行)があれば、あとは一緒に音を出しながら作っていける。これから解説する3つのアプローチは、すべて「骨組みの作り方」のバリエーションだ。
オリジナル曲を作る3つのアプローチ
作曲には大きく3つのアプローチがある。どれが正解ということはなく、メンバーの得意分野やバンドのスタイルに合わせて選べばいい。
| アプローチ | 概要 | 向いているバンド | 難易度 |
|---|---|---|---|
| メロディ先行 | 鼻歌やボーカルのメロディから曲を組み立てる | ボーカルが作曲を主導するバンド、歌モノ志向 | ★★☆☆☆ |
| コード先行 | コード進行を先に決め、その上にメロディを乗せる | ギタリスト・キーボーディストが中心のバンド | ★★★☆☆ |
| リフ・グルーヴ先行 | ギターリフやベースライン、ドラムパターンから展開する | ロック・ファンク系、セッションから曲を生むバンド | ★★★★☆ |
メロディ先行 — 歌から始める最もシンプルな方法
スマホの録音アプリに鼻歌を吹き込むだけで始められる。通勤中や風呂場でふと浮かんだメロディを逃さず記録しておく。コードや楽器の知識がなくても、「こんな感じの曲にしたい」というイメージをメンバーに伝えれば、コードを付けられるメンバーがアレンジしてくれる。
注意点としては、鼻歌だけだとキーが不安定になりやすい。録音する際は、可能であればギターやピアノで簡単な伴奏を付けておくと、メンバーへの共有がスムーズになる。
コード先行 — 理論を味方にする王道の方法
後述する「定番コード進行」を使って、まずコード進行を4〜8小節作る。その上で弾き語りのようにメロディを乗せていく。J-POPやポップロックはこの方法で作られた曲が多い。
コードを知っている人がギターやキーボードで弾き、ボーカルが「こんな感じ」とメロディを合わせていく。バンド練習の進め方で解説したセクション練習の要領で、サビだけ先に固めてからAメロ・Bメロを後付けするのも有効だ。
リフ・グルーヴ先行 — セッションから曲を生む
ギターリフやベースラインを起点にして曲を組み立てる方法。Deep Purpleの「Smoke on the Water」やThe Rolling Stonesの「(I Can't Get No) Satisfaction」は、ギターリフから生まれた名曲だ。
スタジオでジャムセッションしながら「今のリフいいね」「そこにこのリズムを合わせよう」と発展させていく。自由度が高い反面、収拾がつかなくなりやすいので、録音しておいて後から良い部分を切り出す方法がおすすめだ。
3つのアプローチ以外の代替手法 — 行き詰まった時の選択肢
上記の3アプローチ(メロディ先行・コード先行・リフ先行)はどれも「ゼロからメロディやコードを作る」方法だ。しかし、ゼロから生み出すことに疲れたり、アイデアが出てこない時には、以下の代替手法が有効だ。
| 代替手法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| ジャムセッションから生まれる | スタジオで全員で自由に音を出し、偶然できた良いフレーズを記録して組み立てる | リフ先行の拡張。インスピレーション型のバンド |
| 既存曲のリハーモナイゼーション | 好きな曲のメロディに別のコード進行をつけて新曲化する練習。出来上がった曲はメロディも書き換えてオリジナル化 | コード理論を学びたい中級者 |
| ループ音源を起点にする | BandLabやSplice等のループ素材をDAWに並べて、それをベースに生演奏を重ねる | DTM寄りの作り方を試したいバンド |
| AI作曲ツールを下書きに使う | Suno・Udio等のAI作曲ツールで雛形を出力し、アイデアのタネや構成の参考にする(そのまま使わない) | 2024年以降の新しい作曲手法。発想のきっかけ作り |
| 歌詞先行(キーワードから作る) | 先に伝えたいテーマや歌詞のフレーズを固めて、それに合うメロディ・コードを作る | 言葉の表現を大事にしたいバンド |
| カバーから派生させる | 好きな曲のカバーを練習→アレンジを変える→オリジナル風に→最終的に全パートを書き換えて完全オリジナル化 | 完全にゼロが怖い初心者 |
どの手法も「正式なゼロからの作曲」より入りやすい。特にAI作曲ツールは2024年以降急速に進化していて、「雛形作成の時間短縮」という意味では便利だ。ただし、AIが出した曲をそのまま使うと著作権やオリジナル性の問題が出るので、あくまで「発想のタネ」として使い、最終的には自分たちの手で作り変えることが大切だ。
ジャムセッションから曲を生む方法については、ジャムセッションの始め方を併せて参考にしてほしい。
コード進行の基礎知識 — 定番5パターンを覚えよう
「コード進行がわからない」という人は、まず以下の5つの定番パターンを覚えるだけで十分だ。J-POP、ロック、ブルースの大半はこれらのパターンか、そのバリエーションでできている。
| 名称 | 進行(Key=C) | 代表曲の例 | 雰囲気 |
|---|---|---|---|
| カノン進行 | C → G → Am → Em → F → C → F → G | パッヘルベル「カノン」、クラシック〜ポップスまで幅広い | 美しく壮大、感動的 |
| 王道進行(4536) | F → G → Em → Am | YOASOBI「夜に駆ける」、スピッツ「チェリー」など多数 | 切なさと力強さの同居 |
| 小室進行 | Am → F → G → C | 小室哲哉プロデュース楽曲、globe「DEPARTURES」 | 疾走感、キャッチー |
| Just the Two of Us進行 | FM7 → E7 → Am7 → Gm7 → C7 | Grover Washington Jr.「Just the Two of Us」、シティポップ全般 | おしゃれ、都会的 |
| ブルース12小節 | C7×4 → F7×2 → C7×2 → G7 → F7 → C7 → G7 | ブルース・ロック全般、The BEATles「Birthday」 | 泥臭い、グルーヴ感 |
最初は「王道進行」か「カノン進行」がおすすめだ。どちらもメロディが乗せやすく、サビに使うと自然に盛り上がる。コード進行自体に著作権はないので、既存の進行をそのまま使っても法的な問題はない。
これらの進行をギターやキーボードで繰り返し弾きながら、鼻歌でメロディを探っていく。「いい感じ」と思ったらすぐ録音する。その繰り返しが作曲の基本だ。
J-POPのコード進行使用率 — ヒット曲データから見える傾向
音楽理論サイトや楽曲分析では、J-POPヒット曲に特定のコード進行が集中していることが指摘されている。歌ネット、UtaTen、各種音楽理論解説書の分析をまとめると、以下の傾向が見える。
| 進行名 | J-POPでの使用傾向 | 代表曲(一部) |
|---|---|---|
| 王道進行 (F→G→Em→Am / IV-V-iii-vi) | サビで最多。バラード〜ロック問わず頻出 | スピッツ「チェリー」、Mr.Children「HANABI」、Official髭男dism「Pretender」 |
| カノン進行 (C→G→Am→Em→F→C→F→G) | バラード・卒業ソングの王道。安定した展開力 | 山口百恵「秋桜」、山下達郎「クリスマス・イブ」、コブクロ「桜」 |
| 小室進行 (Am→F→G→C / vi-IV-V-I) | 90年代以降のJ-POPダンスチューン定番 | globe「FACES PLACES」、TRF「BOY MEETS GIRL」、多くのアニソン |
| Just the Two of Us進行 (FM7→E7→Am7→C7) | シティポップ・AOR系。おしゃれな浮遊感 | 松原みき「真夜中のドア」、竹内まりや「プラスティック・ラブ」 |
| ブルース12小節 | ロック・ブルース・ジャムセッションで必須 | B.B.キング各曲、エルヴィス「Hound Dog」、多くのジャムスタンダード |
注目すべきは、J-POPのヒット曲は数百曲単位で同じコード進行を繰り返しているということだ。コード進行そのものに著作権はなく、使うこと自体は何の問題もない。むしろ「同じ進行でもメロディとアレンジで全く別の曲になる」ことを理解できれば、初心者でもヒット曲と同じ土俵で勝負できる。
出典例: 歌ネット(uta-net.com)、UtaTen(utaten.com)の楽曲分析、音楽理論解説書各種。
作曲に使えるツール — 無料でも十分始められる
作曲やデモ制作に使えるツール(DAW: Digital Audio WorkSTATion)は、無料のものから本格的な有料ソフトまで幅広い。バンドでのオリジナル曲制作では、高価なソフトを揃える必要はない。まずは無料ツールで始めて、必要に応じてステップアップすればいい。
| ツール名 | 価格 | 対応OS | 特徴 | おすすめの人 |
|---|---|---|---|---|
| GArageBand | 無料 | Mac / iOS | Apple製。直感的な操作、ループ素材が豊富 | iPhone/Macユーザー、作曲完全初心者 |
| BandLab | 無料 | Web / iOS / Android | ブラウザで動作、メンバーとリアルタイム共同編集可能 | OS問わず使いたい人、バンドメンバーと共有重視 |
| Cakewalk Sonar(Free版) | 無料 | Windows | 旧Cakewalk by BandLabの後継。無制限トラック・64bit処理対応 | Windowsユーザー、本格的にやりたい人 |
| Studio One Free | 無料 | Win / Mac | トラック数無制限。ただしVST/AUプラグイン非対応 | 将来のステップアップを見据えた人 |
| Logic Pro | 約30,000円 | Mac | GArageBandの上位版。プロの制作現場で定番 | Macで本格制作したい人 |
| Cubase(Elements) | 約13,200円 | Win / Mac | MIDI編集が強力。日本のプロ使用率が高い | MIDI打ち込み中心の作曲をしたい人 |
バンドでの作曲においてDAWに求められるのは「デモ音源を手軽に作れること」だ。最終的なレコーディングはスタジオで行うにしても、アイデアの段階ではスマホ1台でも十分に事足りる。
特にBandLabは、メンバー全員がブラウザからアクセスして共同編集できる点で、バンドの作曲プロセスと相性が良い。「ギタリストがリフを録音→ベーシストがベースラインを追加→ボーカルがメロディを重ねる」といった流れがオンラインで完結する。
有料DAWのユーザー評価の傾向 — 選ぶときの参考に
Logic Pro・Cubase・Studio Proなどの有料DAWは、それぞれに愛好者コミュニティがあり、Amazonレビューや音楽制作フォーラムで傾向が見える。以下は一般的に多く語られるユーザー評価をまとめたものだ。
| DAW | 好評される点 | 注意される点 |
|---|---|---|
| Logic Pro (Apple) | Mac標準品質。付属音源・ループが圧倒的に多い。動作安定。1回買い切りでアップデートも無料 | Macのみ。Windowsユーザーは選択肢外 |
| Cubase Elements/Artist/Pro (Steinberg) | プロ現場での採用率No.1。MIDI編集の精度が高い。Windows/Mac両対応 | UIがやや古く学習コストが高い。Pro版は高額 |
| Studio One Pro (PreSonus) | ドラッグ&ドロップ操作が直感的。初心者に優しい。処理が軽い | バンドル音源はLogic Proより少なめ |
| Ableton Live (Ableton) | ライブパフォーマンスと作曲の両立が最強。ループ主体の制作に最適 | 従来型の「トラック録音」型作曲では使いづらい部分がある |
| Pro Tools (Avid) | プロスタジオの業界標準。ミックス・マスタリングでの信頼性 | 作曲というよりミックス向き。サブスクリプションで長期的には高コスト |
ユーザー評価で共通するのは、「どのDAWも機能的には十分すぎるほど備わっていて、決め手は『自分の作業スタイルに合うUIかどうか』」という点だ。無料版やトライアルで触ってから本買いするのが確実。Mac持ちならLogic Pro(21,800円の買い切り)が費用対効果No.1と評されることが多い。
バンドアレンジの基本 — 各パートの役割を理解する
メロディとコード進行ができたら、次はバンドアレンジだ。「アレンジ」とは、曲の骨格に各パートの演奏を肉付けしていく作業を指す。ここでのポイントは、全員が同じことを弾かないことだ。
各パートの役割
| パート | 主な役割 | アレンジのポイント |
|---|---|---|
| ドラム | リズムの土台、曲の展開を支配 | Aメロとサビでパターンを変える。フィルインで展開を示す |
| ベース | リズムとコードの橋渡し、グルーヴの核 | コードのルート音を中心に。動きすぎない。ドラムのキックと合わせる |
| ギター(バッキング) | コード感の提示、リズムの補強 | ベースと音域を被らせない。ストロークとアルペジオを使い分ける |
| ギター(リード) | メロディの装飾、ソロ、オブリガート | ボーカルの隙間を埋める。歌っている間は控えめに |
| キーボード | ハーモニーの厚み、雰囲気づくり | ギターと音域を分ける。パッド系かリズム系か役割を決める |
| ボーカル | メロディの主役、歌詞の表現 | メロディラインに無理のない音域設定。コーラスパートも決めておく |
アレンジの手順(5ステップ)
バンドアレンジは以下の手順で進めるとスムーズだ。
- 曲の構成を決める — イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→間奏→…の流れを全員で共有する。ホワイトボードに書き出すと視覚的にわかりやすい
- ドラムとベースでリズムの土台を作る — まずリズム隊だけで合わせる。テンポ、拍子、基本パターンを固める
- コード楽器を乗せる — ギターまたはキーボードでコードを弾く。この段階ではシンプルに
- ボーカルのメロディを合わせる — 歌メロと演奏のバランスを確認。キーが合わない場合はここで調整
- 装飾を加える — ギターソロ、オブリガート、イントロのフレーズ、エンディングなど。最後に味付けをする
重要なのは、引き算の発想だ。全員が常にフルで弾いていると音がぶつかって曲が聞きにくくなる。Aメロはギターだけ、サビで全員が入る、間奏ではドラムが抜ける——そういった「引き」がアレンジの質を決める。音楽性の違いで揉めない方法でも触れたが、各パートの役割分担は事前にしっかり話し合っておくことが大切だ。
歌詞の書き方の基本
作曲と同時に、あるいは曲が先にできてから歌詞を書く場合もある。歌詞の書き方に正解はないが、以下のポイントを押さえておくと書きやすくなる。
1. サビから書く
曲の中で最も伝えたいメッセージがサビにある。「この曲で何を言いたいのか」を一言で言えるフレーズをサビに置き、そこから逆算してAメロ・Bメロを組み立てる。プロの作詞家も多くがこの方法を採用している。
2. テーマを1つに絞る
1曲に複数のテーマを詰め込むと散漫になる。「失恋」「夏の思い出」「挑戦」など、テーマは1つに絞る。テーマが決まったら、そこから連想されるキーワードを10〜20個書き出す。このキーワードリストが歌詞の素材になる。
3. 韻を意識する
母音を揃える「韻」を踏むと、歌詞にリズム感が生まれ、歌いやすくなる。例えば「走り出す」(hashiridasu)と「見つけ出す」(mitsukedasu)は母音が揃っている。日本語の場合、行末の母音を合わせるだけでもかなり印象が変わる。
4. メロディに合わせて文字数を調整する
先にメロディがある場合、音符の数に合わせて歌詞の文字数を調整する必要がある。1音に1文字が基本だが、16分音符に言葉を詰め込んだり、1音を伸ばして使ったりと、メロディと歌詞のフィット感を探っていく。実際に歌ってみて「口が回らない」箇所は修正する。
デモ音源の作り方 — アイデアを形にして共有する
オリジナル曲のアイデアをメンバーに伝える最も確実な方法は、デモ音源を作ることだ。「こんな感じの曲」と口で説明するより、30秒のデモを聴かせた方がイメージが100倍伝わる。
ステップ1: スマホで一発録り
最もシンプルな方法。ギターかキーボードで弾き語りしながらスマホのボイスメモで録音する。音質は気にしなくていい。曲の雰囲気とメロディの方向性が伝わればデモとしては十分だ。
ステップ2: DAWで簡易トラック作成
GArageBandやBandLabで、ドラムのループ素材の上にギターやベースを重ねる。各パートのイメージを具体的に伝えたい場合はこちらがおすすめ。DAWの操作に慣れていなくても、ループ素材をタイムラインに並べるだけで「曲っぽい」デモが作れる。
ステップ3: メンバーに共有する
デモ音源はLINEグループやクラウドストレージ(Google Drive等)で共有する。BandLabならプロジェクトのURLを送るだけで、メンバーがブラウザで再生・編集できる。共有の際は以下の情報も添えると親切だ。
- テンポ(BPM)
- キー
- コード進行(テキストで書き出す)
- 曲の構成(Aメロ→Bメロ→サビ等)
- 各パートへのリクエスト(あれば)
デモの段階で完璧を求める必要はない。「この方向性でどう?」という会話のきっかけになればそれでいい。練習スタジオの選び方を参考にスタジオを予約し、デモを元にメンバー全員で音を合わせる段階に進もう。
曲の構成パターン — まずは定番の型から
「曲の展開をどうするか」で悩む人は多い。最初は定番の構成パターンに当てはめて作り、慣れてきたらアレンジを加えていくのがおすすめだ。
| 構成パターン | 内容 | 向いているジャンル |
|---|---|---|
| A-B-サビ型 | イントロ→A→B→サビ→A→B→サビ→ソロ→サビ→アウトロ | J-POP、ポップロック |
| Verse-Chorus型 | イントロ→Verse→Chorus→Verse→Chorus→Bridge→Chorus→アウトロ | 洋楽ロック、パンク |
| AAB型 | A→A→B(サビ)の繰り返し。Bメロなし | ブルース、フォーク、シンプルなロック |
| ループ型 | 同じコード進行を繰り返し、アレンジで変化をつける | ファンク、ヒップホップ、エレクトロ |
J-POPやポップロックなら「A-B-サビ型」が王道だ。まずはこの型でサビを一番盛り上がるポイントに設定し、AメロからBメロへの「助走」を意識して構成を組む。
構成が決まったら、各セクションの小節数も決めておく。一般的にはAメロ8小節、Bメロ8小節、サビ8〜16小節がバランスが良い。バンドの最初に合わせる曲の選び方で分析したような既存の曲を参考に、構成を研究するのも効果的だ。
オリジナル曲制作でよくある失敗と対策
初めてのオリジナル曲制作では、多くのバンドが似たような壁にぶつかる。事前に知っておけば回避できる「あるある」をまとめた。
失敗1: 全員で同時にゼロから作ろうとする
問題: スタジオに集まって「さあ、曲を作ろう」と始めるが、誰も何も持ってきていない。2時間のスタジオ代だけが消えていく。
対策: 誰か1人がデモ音源やコード進行の骨格を持ち寄る。ゼロからスタジオで作るのではなく、「たたき台」を元に全員でブラッシュアップする流れにする。スタジオ代はバンド活動にかかるお金の中でも大きな割合を占める。有効に使おう。
失敗2: 完璧を求めすぎて1曲も完成しない
問題: 「サビのメロディが気に入らない」「Bメロのコードが違う気がする」と修正を繰り返し、半年経っても1曲も完成しない。
対策: まずは「60%の完成度」で1曲を最後まで通す。頭からアウトロまで演奏できる状態にしてから、細部を詰める。完璧な1曲より、完成した3曲の方がバンドの成長につながる。
失敗3: 作曲者以外のメンバーが受け身になる
問題: 1人が曲を持ってきて、他のメンバーは「言われた通りに弾く」だけ。作曲者の負担が大きく、バンドとしての一体感も薄れる。
対策: デモ音源の段階では骨格だけを作り、各パートのフレーズはメンバー自身に任せる。「ベースラインは任せるから考えてきて」と振ることで、全員が曲作りに参加できる。
失敗4: イントロにこだわりすぎる
問題: イントロのギターフレーズに何週間もかけ、肝心の曲本体が進まない。
対策: イントロは最後に考える。サビ→Aメロ→Bメロの順で曲の核を先に固めてから、イントロとアウトロを付ける。イントロはサビのメロディを引用するだけでも十分に機能する。
失敗5: キーが合わない問題を放置する
問題: ギタリストが作った曲のキーが高すぎて(または低すぎて)ボーカルが歌えない。そのまま無理して歌い続ける。
対策: ボーカルの音域を事前に把握しておく。キーの変更はカポタスト(ギター)やトランスポーズ機能(キーボード)で簡単に対応できる。曲の完成度が上がる前の早い段階でキーを確定させること。
オリジナル曲ができたら — 次のステップ
1曲目のオリジナル曲が完成したら、次はライブで披露するステージに進む。ライブハウスに出演する方法を参考に、まずはオープンマイクやアマチュア枠のイベントからスタートするのがおすすめだ。
ライブでオリジナル曲を演奏すると、お客さんの反応からフィードバックが得られる。「サビが弱い」「間奏が長い」といった改善点が見えてくる。スタジオでの練習だけではわからないことが、ライブの場で明らかになる。
また、オリジナル曲が3〜4曲たまったら、レコーディングも視野に入れよう。最近はレコーディングスタジオの料金も下がっており、練習スタジオの選び方で紹介したような大手チェーンでもレコーディングサービスを提供している。音源があればSNSやストリーミングサービスでの発信も可能になる。
初心者がバンドに入るための完全ガイドから始まり、コピーバンドで腕を磨き、オリジナル曲を作り、ライブに出る。このステップを踏めば、バンド活動は確実に次のレベルに進んでいく。
Memboでオリジナル曲を一緒に作れるメンバーを探そう
オリジナル曲を作りたいなら、同じ志を持つメンバーが必要だ。Memboでは、「オリジナル志向」「作曲できる人歓迎」といった条件でメンバーを探すことができる。8言語対応のリアルタイム翻訳チャットで、外国人ミュージシャンとも気軽にやりとりが可能だ。
コピーバンドの先にある「自分たちだけの音楽」。その第一歩は、一緒に曲を作れる仲間を見つけることから始まる。
よくある質問(FAQ)
Q. 音楽理論を知らなくてもオリジナル曲は作れますか?
はい、作れます。この記事で紹介した定番コード進行(王道進行やカノン進行)を使えば、理論の知識がなくても曲の骨格を組み立てられます。鼻歌でメロディを作り、コードを弾けるメンバーに伴奏を付けてもらう方法もあります。まずは「完成させること」を優先し、理論は曲作りを続ける中で少しずつ身につけていけば十分です。
Q. 作曲は誰か1人がやるべきですか?それとも全員で?
どちらでも構いませんが、効率的なのは「1人がデモを作り、全員でアレンジする」方法です。ゼロからスタジオで全員同時に作ろうとすると時間がかかりがちです。骨格を作る人と、各パートのフレーズを考える人で役割分担するとスムーズに進みます。
Q. DAWは有料のものを買った方がいいですか?
最初は無料で十分です。GArageBand(Mac/iOS)やBandLab(全OS対応)は無料でもデモ制作に必要な機能が揃っています。本格的なレコーディングやミキシングをするようになったら、Logic ProやCubase等の有料DAWを検討しましょう。
Q. オリジナル曲を作るのにどのくらいの期間がかかりますか?
バンドの経験値や集まれる頻度によりますが、最初の1曲は1〜3ヶ月が目安です。週1回のスタジオ練習で、毎回30分を曲作りに充てれば、4〜8回のセッションで形になります。完璧を求めず「まず1曲完成させる」ことを目標にしましょう。
Q. コード進行をそのまま使っても著作権の問題はないですか?
コード進行自体に著作権はありません。同じコード進行を使っていても、メロディや歌詞、アレンジが異なれば別の曲として認められます。王道進行やカノン進行は数え切れないほどの曲で使われていますが、法的な問題は一切ありません。ただし、既存の曲のメロディをそのまま使うのは著作権侵害になるので注意してください。
